ぐんま睡眠フェア 内村理事長登壇について

「睡眠から、人と社会を健やかに。」をキャッチフレーズに、睡眠に関する科学的根拠に基づいた情報の提供と具体的な施策の提案を行うことで、人々の睡眠を、より良いものにし、人と社会を健やかにしていくための活動を推進する一般社団法人日本睡眠協会(理事長:内村直尚、東京都文京区、以下「JSLEEP」)は、2025年3月23日に群馬県前橋市の群馬県庁で開催された「ぐんま睡眠フェア」(主催:上毛新聞社)で内村直尚理事長が登壇し、講演を行い、トークセッションにも参加させていただきました。

当日、内村理事長からは「健やかな睡眠が健康で幸せな生活をもたらす」と題して以下のような内容をお伝えしました。

  • 日本は他国に比して確かに平均寿命は長いが、それに比べて健康寿命は短い。この差を縮めるには食事、運動、疾病予防、喫煙や飲酒、そして睡眠などが重要。いわゆる「ピンピンコロリ」が理想だろうが、そのあたり国が改善に取り組んでいる。
  • 睡眠は重要な役割を果たす。こころ・脳・身体の休息、疲労回復は野球の大谷翔平選手も言っている。ストレスの緩和にも効果的で睡眠中はストレスを感じない、成長ホルモンを分泌し身体の成長、老化防止にも寄与する。また、免疫力を向上させ、記憶の定着も助ける。
  • 日本人の平均睡眠時間は7時間22分で世界平均と比べて1時間以上短く睡眠不足の人が多い。特に女性は男性よりも睡眠時間が短く、世界の中で最も睡眠時間が少ない。また、日本人は5人にひとりは睡眠の問題を抱えているといわれる。
  • 睡眠不足のもたらす健康への悪影響として、成長ホルモンが出ない、糖尿病、高血圧、がんや認知症になりやすくなることがある。また、睡眠不足や不眠は日中の眠気や倦怠感、不安、イライラなど精神的な不安定を引き起こす。また、産業事故や交通事故のリスクを高め、仕事の能率低下などを招く。さらに、肥満、高血圧、糖尿病、心血管疾患のリスクを増加させるほか、うつ病、認知症、がんのリスクも上昇させる。
  • 睡眠不足や睡眠障害から肥満になりやすく、そこから糖尿病、高血圧、脂質異常症に繋がり、さらにそこから心筋梗塞や脳血管障害になりやすくなり長生きしにくくなる。肥満になりやすいのは、睡眠が不足すると甘味に鈍感になり、さらに満腹に感じるホルモンが減り、空腹に感じるホルモンが増えるから。
  • 睡眠時間が短すぎる場合は勿論、長すぎる場合でもうつ病になりやすい。
    福岡県の久山町での1500人対象の10年間の調査で睡眠時間と認知症、そして死亡リスクの関係を調べたところ、睡眠時間が短すぎても長すぎても認知症になりやすく、死亡リスクも高まる結果に。
  • 人間には25時間周期の体内時計があり、これをリセットして24時間周期にリズムを整える必要がある。そのために、朝の光を浴びることや規則正しい食事、適度な運動、人との交流、睡眠環境の整備(夜は暗く静かにすることなど)が必要となる。
  • 週末の寝だめで日頃の睡眠負債はカバーできない。また、週末に遅寝・寝坊をすると体内リズムが乱れ、月曜日の朝の目覚めが悪くなる。
  • こうした生活習慣は、翌週の眠気を引き起こし、ひいては週の半分以上にわたり眠気や疲労感が続く悪循環に陥る。だから、週末も平日と同じ時間に起床することが望ましい。
  • 体内リズムが乱れると、身体的な面では肥満や生活習慣病、心血管疾患やがんになりやすくなり、精神的には抑うつ症状や認知症にかかりやすくなる。また、集中力やパフォーマンスにも悪影響を及ぼす。
  • 睡眠障害のひとつに閉塞性睡眠時無呼吸症候群がある。昼の眠気や気分の落ち込みをもたらし、長生きできにくくなる。
    厚生労働省が昨年「健康づくりのための睡眠ガイド」を公表した。質=睡眠休養感と量=睡眠時間を確保することが重要。睡眠休養感は朝起きて「ああしっかり眠ったなあ」「疲れがとれたな」と感じることで、睡眠不足、ストレス、夜食、朝食抜き、早食い、運動不足(歩行速度など)や病気で睡眠休養感が低下すると心身に悪影響を及ぼす。
  • 睡眠時間7時間前後の人が病気になったり死亡したりしにくい。これより長くても短くてもリスクは高まる。65歳以上の高齢者については8時間以上床に就いていると死亡率が高まる。
  • 睡眠にとって寝る環境も重要で、朝はしっかり光を浴びて夜寝る前は静かにしてブルーライトを浴びない。また、寝る前2時間前にお風呂に入りからだを温めることで入眠しやすくなる。
    アルコールはもちろんだが、カフェインにも注意が必要で、コーヒーなどは勿論、エナジードリンクや玉露のお茶もたくさんカフェインが含まれているので注意。
  • ぐっすり眠るための8か条として①就寝前はリラックス、②眠りを妨げるものは控える、③就寝1時間前から照明を落とし明るい光を避ける、④午前0時までには床に就く、⑤朝一定の時刻に起床する、⑥規則正しく食事を摂る、特に朝食を食べる、⑦運動する、⑧昼食後の昼寝は30分以上すると逆に悪影響。

以上のようなお話に会場の皆様が熱心に耳を傾けて下さいました。講演の後は同じくご登壇された岸 哲史先生(東京大学 大学院医学系研究科 特任講師)、モデレーターを務めた当協会事務局長宮原禎とともにトークセッションにも参加させていただき、会場からのご質問にも時間の許す限りお答えさせていただきました。今後もJSLEEPとして機会を捉えてこのような睡眠に関する普及啓発を、日本人の睡眠の改善に向けた取組を進めて参ります。

【協会概要】
一般社団法人日本睡眠協会
理事長 内村直尚
設立日:2023年7月20日
事務所所在地:東京都文京区本郷六丁目25番14号宗文館ビル3階
HP:https://jsleep.org/

本件に関するお問い合わせ先
日本睡眠協会事務局 contact@jsleep.org

このサイトをフォローする!