理事長挨拶

良質な睡眠が健やかな暮らしに繋がる、この点についてもはや異論はないでしょう。医薬品、特保、ウェアラブルデバイスからゲームまで、睡眠に対する世の関心の高まりを感じます。
しかし、睡眠への関心の高い我々日本人が実は世界の中でも最も睡眠時間が短く、また、「24時間社会」、「ストレス社会」、「高齢化」など生活習慣や環境・状況要因のため睡眠リズムも乱れ、睡眠の質も低下、というのが現状です。実際、本邦では5人に1人が何らかの睡眠問題を抱えています。不眠や睡眠不足は、倦怠感、集中力・判断力・認知機能の低下等を招くだけでなく肥満、糖尿病、高血圧など生活習慣病や心筋梗塞・脳血管障害など心血管系疾患、がん、発達障害や認知症、うつ病など精神疾患の誘因や増悪因子になり、結果、経済損失、事故や死亡率の増加をきたします。
従って、睡眠障害の予防および診断や治療はこころや脳・からだの病気の予防、早期治療、重症化や再燃の予防に役立ちます。すなわち、子どもの発達・成長を促し、成人のこころとからだの健康管理を高め、高齢者の健康寿命を延長する。さらに睡眠中が唯一ストレスから解放される時間であるため、ウェルビーイング増進や幸福度の向上にも繋がります。
このように、睡眠障害の早期診断・治療を行い、QOLを高めるためには、睡眠健診を広め予防を行い、引いては医療アクセスを改善することで健康寿命の延長、少子化対策や幸福度の向上に貢献できると確信しています。また、企業の生産性向上や経済損失の防止など経済活性化をもたらします。すなわち、良質な睡眠は人と社会の健康に貢献し、日本の未来を変えることができるのです。
当協会として、日本人の睡眠を改善していくため、医学会と連携し、科学的根拠に基づいて、政策決定者、産業界、地域社会とも手を取り合いながら、普及啓発や政策提言などに取り組んで参ります。こうした活動に対し、多くの企業、技術者や研究者の方々が、ご賛同、またご参加いただけますと幸いです。

一般社団法人日本睡眠協会
理事長 内村直尚

設立の背景

日本における“睡眠”への関心が高まっている中、政府および企業等による健康増進に向けた取り組みにおいても、睡眠に着目した取り組みが年々増えてきています。
こうした状況下、日本における睡眠に関する状況を改善し、社会全体としてのウェルビーイングの向上、企業の生産性向上、そして、睡眠産業の創造・活性化につなげていくべく、

・睡眠に関する科学的根拠の提示

・睡眠予防・睡眠医療に関する情報の発信

・睡眠予防・睡眠睡眠医療施策の推進

をミッションとして、睡眠医療、公衆衛生、産業衛生、高齢者の健康等に関する取り組みに従事してきた専門家を中心に、本協会を設立いたしました。

本協会の目指すこと

日本睡眠協会は、以下を目指して活動して参ります。

  • アカデミア・医学界の取り組みを起点に、日本における「睡眠×ウェルビーイング」の改善に向けた取り組みを推進し、社会実装に繋げていくこと
  • 企業、スタートアップ、行政・自治体の皆さまと連携し日本のウェルビーイングの増進に貢献するとともに、産業界の生産性向上や睡眠産業の創造・育成につなげていくこと

主な活動内容

ミッションの実現に向けて、以下の3つの活動に取り組んで参ります。

1. [分科会活動]
勉強会・ワーキンググループの開催

睡眠課題の各分野における専門家を中心に分科会活動を行います。これまでの研究成果などに基づく科学的知見の共有、企業、自治体及び学校等における問題意識及び先進的な取り組みの共有などを行います。

2. [広報/発信]
睡眠関連イベント・PR活動

分科会活動などにより得られた知見や、睡眠に関する一般社会に向けた啓発啓発につながるPR活動を実施します。

3. [政策提言]
立法府・行政等への提言

勉強会や各ワーキンググループ等の成果を立法府や行政・自治体に向けて提言、情報発信を行います。それにより睡眠をめぐる社会課題の解決や産業創造に貢献します。

組織図

理事

内村直尚 理事長

NAOHISA UCHIMURA

久留米大学学長
日本睡眠学会理事長

1981年に日本初めての睡眠障害専門外来を開設し、リーダーとして牽引してきた睡眠障害のエキスパート。「地域に貢献できる臨床家の育成」を自らに課せられた役割だとし、現場に強い医師を多く育成

近藤克則

KATSUNORI KONDO

千葉大学予防医学センター 社会予防医学研究部門 教授
日本長寿医療研究センター 研究所 老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部長
日本老年学的評価研究機構(JAGES)代表理事

「健康格差縮小を目指した社会疫学研究」で2020年度「日本医師会医学賞」受賞,「健康格差社会ー何が心と健康を蝕むのか」(医学書院2005)で社会政策学会賞(奨励賞)を受賞。近著として 「健康格差社会への処方箋」(医学書院2017)、「研究の育て方」(医学書院2018)  「長生きできる町」(角川新書2018)、「健康格差社会 第2版 何が心と健康を蝕むのか」(医学書院2022)などがあり、健康格差研究の国内第一人者。

陳和夫

KAZUO CHIN

日本大学医学部内科学系 睡眠医学分野 睡眠医学・呼吸管理学講座教授 同附属板橋病院睡眠センター長
京都大学大学院医学研究科附属ゲノムセンター特任教授
日本睡眠学会前理事

京都大学と長浜市の協力下で行われている約1万人の「ながはまコホート」 において、睡眠呼吸障害(SAS)の調査では世界最大規模の客観的睡眠時間測定やSASと肥満、高血圧・2型糖尿病などの生活習慣病との相互関連を明らかにしてきた。

中山健夫

TAKEO NAKAYAMA

京都大学医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学教授・附属病院倫理支援部部長

厚生労働省の第4期特定健診・特定保健指導の在り方検討会座長、予防・健康づくりの大規模実証に関する有識者会議座長、日本医療研究開発機構(AMED)予防・健康づくりのヘルスケア社会実装基盤整備事業プログラムスーパーバイザー、日本医療機能評価機構Mindsガイドラインセンター運営委員長などを務める。
日本初の医療ビッグデータ関連の書籍も刊行している。

永光信一郎

SHINICHIRO NAGAMITSU

福岡大学医学部小児科主任教授
日本小児心身医学会理事長
子どものこころ専門医機構理事
日本睡眠学会 幹事

厚生労働省「母子健康手帳、母子保健情報等に関する検討会」構成員として、母子健康手帳に母子の睡眠に関する記述掲載を提案。こども家庭庁成育局母子保健課研究班代表者として、乳幼児健診マニュアル作成に従事。

原浩貴

HIROTAKA HARA

川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頚部外科学主任教授
日本睡眠学会 理事
日本小児耳鼻咽喉科学会理事
日本口膣咽頭科学会理事(いびき・睡眠・嚥下分野担当)

睡眠に問題を抱えている子どもに向き合い、少子超高齢社会において子どもの睡眠を守り、心身の健やかな発達を促すことが何より大切だと考え、未就学児を対象にした睡眠時無呼吸症の新しい治療に取り組む。また、いびき音の解析を研究テーマとし、睡眠時無呼吸症に対する新しい診断法の開発にも取り組んでいる。
「いびき音の音響解析を睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査法の開発」で第44回宇部興産学術振興財団渡辺記念特別奨励賞(2004年3月)受賞。

八木朝子

TOMOKO YAGI

久留米大学准教授
日本睡眠検査学会理事長
日本睡眠学会理事

米国、カナダ、海外32カ国で約22,000人存在する、睡眠検査の専門家の資格(RPSGT)を日本で3番目に取得し、日本で欧米並みの機能を有する睡眠専門医療機関(太田睡眠科学センター、医療法人愛仁会太田総合病院)設立に尽力した。

安倍孝治

TAKAHARU ABE

ワールド健康保険組合 前専務理事
NPO法人健康経営研究会 元副理事長
保険者機能を推進する会 元会長
国際医療福祉大学院 元特任教授

健保の保健事業にマーケティングを導入し、被保険者の健診受診率を高めつつ、有所見率を減少させ、結果として医療費の適正化に繋げ、保険料率の大幅引下げを実現した。健康と経営は結びついていると確信し、健康経営研究会を共同で立ち上げ、啓発、普及に努める。また、国際医療福祉大院、保険者マネジメントセミナーを立ち上げ、「健康経営を実現するための健保組合マネジメント」講師を12年間勤め、保険者や支援事業者約500人が受講し、業界の発展と人材育成に貢献した。共著「健康経営のすすめ」第2部健保組合マネジメント論は健保組合のバイブルと言われている。

野口謙吾

KENGO NOGUCHI

三井住友信託銀行株式会社
副会長執行役員

大手総合商社、製造業、サービス業等、多岐に亘る業界の融資担当を経て、ストラクチャードファイナンス、クレジット投資業務に従事。 現在は地域エコシステムの構築を実現すべく、大学、自治体、地域金融機関と連携した取組を推進しており、直近では東北大学と三井住友信託銀行との合弁会社設立を仕掛け、自らも非常勤取締役に就任。次世代の教育にも注力しており、複数大学で客員教授としても活動。また、地域を支えるインフラ、データベース等の様々なアセットのマネジメントの高度化を目的として、一般社団法人日本アセットマネジメント協会の理事を務める。

川上登福

TAKAYOSHI KAWAKAMI

株式会社 先端技術共創機構(ATAC) 代表取締役
株式会社 経営共創基盤(IGPI) 共同経営者 マネージングディレクター
公益財団法人 がん研究会 アドバイザー
一般社団法人 ⽇本ディープラーニング協会 理事

商社、GEを経て、IGPIに参画。先端技術事業化、産学連携、ベンチャー投資、新規事業開発等を多数統括。スタートアップ取締役、大学の顧問、政府系委員等多数。

組織概要

名称一般社団法人 日本睡眠協会
英称Japan Sleep Association
理事長内村直尚
所在地東京都文京区本郷六丁目25番14号宗文館ビル3階