第1回子どもの睡眠WG開催のご報告

「睡眠から、人と社会を健やかに。」をキャッチフレーズに、睡眠に関する科学的根拠に基づいた情報の提供と具体的な施策の提案を行うことで、人々の睡眠を、より良いものにし、人と社会を健やかにしていくための活動を推進する一般社団法人日本睡眠協会(理事長:内村直尚、東京都文京区本郷、以下「JSLEEP」)は、2024年 2 月16日、世代別WGのうち子どもの睡眠に特化して理解を深めていくことを目指す子どもの睡眠ワーキンググループ(座長:永光信一郎(福岡大学 医学部 小児科 主任教授)、以下「子どもWG」)の第1回会合を東京大学本郷キャンパス内(東京都文京区)において開催しました。

                

 当日は星野恭子先生(昌仁醫修会 瀬川記念小児神経学クリニック理事長、社会とともに子どもの睡眠を守る会)から「子どもと睡眠について」と題してお話をいただきました。なぜ子どもの睡眠が重要なのか、そして親として、社会として子どもの睡眠を守っていくためにどのように課題に臨めばよいのか、具体的なケースも取り上げつつわかりやすいご説明をいただきました。

【概要】

 (日本版Bright futureを目指して)

  • 日本は経済的に豊かになり、栄養、医療、衛生、教育等全てが格段に進歩している。しかし、「子どもの睡眠」は「減っている」。せっかく豊かになったのに、なぜ、子どもは眠れなくなってしまったのか
  • 「寝ないで夜過ごせる」が「豊か」の象徴なのか。「寝ないで働いた結果」かもしれない。しかし、子どもは夜働かない。「子どもが夜寝ないでも楽しそう」と勘違いがある
  • 「食べて寝て遊んで学んで元気に過ごす」は、身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に健やかな子どもの発育の基本ではないか

 (子どもの睡眠覚醒リズムの重要なポイント)

  • 睡眠覚醒リズムの発達は脳幹機能、心身の成長、自律神経の発達に影響する
  • ヒトは生後3-4か月頃までに昼間覚醒することを覚え1歳頃までに劇的に変化し二相性を確立する
  • 早寝早起き朝ごはんをこころがける
  • 本人の能力を100%発揮し、昼に充実した楽しい活動をするために、夜は十分な睡眠が必要であることを保護者も本人も理解する

星野恭子先生プロフィール

日本小児科学会専門医、日本小児神経学会専門医。東邦大学大森病院第一小児科にて研修、関東の病院にて勤務後、 2000年、旧瀬川小児神経学クリニック研修中に早起きサイトを結成。2005年早稲田大学にて時計遺伝子研究を経て、2010年から和歌山県南紀の南和歌山医療センターに勤務。全国での講演や和歌山県教育 委員会はじめ地方自治体のパンフレット作成や啓発活動に協力、2013 年に文部科学大臣表彰を受賞した。2014年瀬川昌也院長先生が逝去されたことから、2015年小児神経学クリニック院長に就任、2017年10月1日クリニックの医療法人化により医療法人社団 昌 仁醫 修 会瀬川記念小児神経学クリニック理事長として、臨床研究を中心とした 睡眠の啓発活動の拠点を目指している。2021年、今までの医療、全国 での講演、地域医療への貢献が評価され「日本医師会赤ひげ大賞赤ひげ功労賞」受賞。

 

(睡眠衛生指導のポイント)

  • 「寝る時間、起きる時間」を具体的に聞き、睡眠表を使う。

メデイアとの向き合い方、夜は暗くする、寝る時間から逆算して何をするか決める。夕方からの時間管理が必要。

 (子どもの睡眠はなぜ大切?)

  • (1)脳の発達に影響がでる(発達の遅れ、情緒の障害)、(2)身体の発達に影響がでる(肥満、自律神経の障害)

  (早期の睡眠リズムが後のリズム形成に影響)

  • (1)生後4ヵ月時に夜型の児は生後10ヵ月時にも生活リズムが乱れる、(2)3歳時に21時に就寝する児は10歳時にも21時までに就寝する割合が高く、幼児期早期の睡眠リズムが前思春期のライフスタイルに影響する
  • 乳幼児の睡眠障害への介入方法

 (社会的時差ぼけ) 

  • 休みの日、起きる時間が遅い生徒について:平日と土日で起床が2時間以上ずれている中学生は、イライラ、睡眠不足感、昼間の眠気、疲労感、学業成績の低下などが見られる

以上について、現地・オンライン含め20名超の方々が星野先生のお話に熱心に耳を傾け、質疑も通して子どもの健全な睡眠とは何か、その実現するために、職業人として、また親として必要となる覚悟や取組とは何か、といった点について理解を深めました。

今後、本WGは子どもの睡眠について更にテーマで座学形式で理解を深めていければと考えております。第2回会合は5月9日(金)に原浩貴先生(当協会理事、川崎医科大学)にご登壇いただき、子どもの睡眠障害について(仮)、第3回8月には内村直尚先生(当協会理事長、久留米大学学長)に厚生労働省「睡眠ガイド」の子どもパートについて解説いただきます。

【協会概要】

一般社団法人日本睡眠協会

理事長 内村直尚

設立日:2023年7月20日

事務所所在地:東京都文京区本郷六丁目25番14号宗文館ビル3階

HP:https://jsleep.org/ 

本件に関するお問い合わせ先

日本睡眠協会事務局 contact@jsleep.org

このサイトをフォローする!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です