子どもの眠る権利を守る全国協議会 設立記念シンポジウム 内村理事長登壇について

「睡眠から、人と社会を健やかに。」をキャッチフレーズに、睡眠に関する科学的根拠に基づいた情報の提供と具体的な施策の提案を行うことで、人々の睡眠を、より良いものにし、人と社会を健やかにしていくための活動を推進する一般社団法人日本睡眠協会(理事長:内村直尚、東京都文京区本郷、以下「JSLEEP」)は、このたび設立された「子どもの眠る権利を守る全国協議会」に幹事団体のひとつとして参画致します。

同協議会は、当協会含めこれまで子どもの睡眠に取り組んできた 5 団体が連携し、子どもの睡眠を家庭だけの自己責任とせず、企業・行政・教育・保育・医療等を含む社会全体の課題として捉え、子どもが十分に眠ることのできる社会制度・環境づくりを進めることを目的に設立されたものです。

8月30日(日)に都内で開催された同協議会の設立シンポジウムでは、当協会の内村直尚理事長も登壇させていただき、「出産前から始まる『子どもの眠る権利』ー妊娠期・産後の睡眠教育をどう届けるかー」と題してお話させていただきました。その概要は以下のとおりです。

内村理事長講演概要

近年、国の政策においても睡眠の重要性が明確に位置づけられている。今年度の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」には、一昨年から続き「睡眠」が盛り込まれ、予防医療の分野で睡眠対策の推進が、疾病対策の分野で睡眠障害等への対応が明記された。また2023年4月の母子手帳改訂では、子どもの睡眠に加えて、母親・父親を含めた保護者自身の睡眠の大切さが新たに記載された。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、成人・子ども・高齢者という3つのライフステージ別の推奨事項に加えて「妊娠・子育てと睡眠健康」が新たに取り上げられ、妊娠中の睡眠は妊娠経過とともに変化し胎児の健康にも影響しうること、子育て期の睡眠も健康維持・増進に重要であることが示されている。

女性の睡眠は月経周期の影響を受け、プロゲステロン優位となる黄体期には眠りが浅くなり日中の眠気が強まる。妊娠初期はホルモンの急激な変化やつわり・不安・ストレスにより睡眠が妨げられ、中期には比較的安定するが、後期には再び眠りが浅くなる。妊娠後期には、鉄欠乏などを背景に「むずむず脚症候群」が妊婦の約2割に生じるほか、閉塞性睡眠時無呼吸症候群も生じやすくなる。もともと顎が小さい、口を開けて寝る、アレルギー性鼻炎があるといった女性が妊娠して体重が増えると無呼吸症候群を発症しやすく、重症例では睡眠中の血中酸素飽和度が標高5000m級の環境に相当するレベルまで低下することもあり、母体だけでなく胎児の健康にも重大なリスクとなりうる。適切な診断を受けずにこうした状態が放置されるケースもある。

約10万人を対象とした全国調査(エコチル調査)のデータでは、8時間以上眠る妊婦の割合が妊娠前の約4割から妊娠中は約1割増加し、就寝時刻もやや早まる傾向がみられる一方で、睡眠時間が6時間未満、あるいは午前0時以降に就寝する妊婦も一定数存在する。こうした妊娠前・妊娠中の睡眠習慣は、生後1か月の子どもの「育てにくさ」(昼夜逆転、機嫌の悪さ、頻繁で激しい泣きなど)のリスクと有意に関連することが示されている。さらに、妊娠中の睡眠時間が6時間未満または9時間以上の群では、子どもが3歳時点で自閉スペクトラム症(ASD)と診断されるリスクが高まる一方、妊娠中の母体の活動量が多い群ではそのリスクが低下することも分かっている。

生後1か月・6か月・1歳と続く追跡調査からは、妊娠中の母体の睡眠が乳児期の睡眠問題の発生と関連し、その睡眠問題が早期に改善されればASD・発達リスクが軽減される一方、放置されるとリスクが高まることが示されている。小学生の約1割が発達障害とされる現状の背景に、母親の妊娠前・妊娠中の睡眠が関わっている可能性がある。

これらの知見を踏まえ、妊娠初期の段階ですべての妊婦を対象に睡眠・メンタルヘルス・妊娠に関わる社会的要因を評価し、必要な支援へつなげる「妊婦の睡眠検診」のような標準化された仕組みづくりが重要である。子どもが健やかに育てられる環境を整えることは、家族が次の子どもを持とうという気持ちにもつながりうるものであり、働く女性や妊婦の睡眠を大切にすることが、子どもの健康の向上と少子化対策の両面に資する取り組みとして位置づけられる。

 

〇関連リンク

設立記念シンポジウム|開催報告 – 子どもの眠る権利を守る全国協議会

2026年8月30日(日)、「子どもの眠る権利を守る全国協議会」の設立記念シンポジウムを執り行いました。 ご来場いただきました皆さま、Youtubeライブ配信をご視聴ください…

 

【協会概要】
一般社団法人日本睡眠協会
理事長 内村直尚
設立日:2023年7月20日
事務所所在地:東京都文京区本郷六丁目25番14号宗文館ビル3階
HP       :https://jsleep.org/
X(旧Twitter): https://x.com/jsleeporg
Facebook   : https://www.facebook.com/profile.php?id=61573164333553&locale=ja_JP

本件に関するお問い合わせ先
日本睡眠協会事務局 contact@jsleep.org

 

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